花の命、長い?短い??花を長持ちさせるには②
お花やさんで花を購入した時に、
「なるべく涼しい場所に置いて下さい」
と言われた事、ありませんか?
店頭で働いていた頃、私も
なるべく涼しく、日が当たらない場所に、
とお客様に伝えていました。
では、なぜ明るく温かい場所は適さないのでしょうか。
その理由について詳しく説明します。
花の活動を抑える
小学校のころ、理科の授業で植物の光合成について習った事を覚えているでしょうか。
植物は、光合成をします。
光合成とは、簡単にいうと「植物が光によってデンプンなどを作る働き」です。
二酸化炭素と水からデンプンなどの有機物と酸素を葉の葉緑体で合成します。
というと、何だか難しい話に聞こえますが、
要するに植物にとって必要な栄養を光合成によって作っているという事です。
作られた栄養素は師管という、
人間でいう血管のような管を通って植物の体内へ運ばれます。
そうして栄養を行き渡らせて植物は成長しています。
光が当たっている状態の時、植物は絶えず光合成を続けています。
そして光合成によって作られた栄養素を運ぶ時に呼吸が必要になります。
植物は呼吸をする
植物の多くは、一日中呼吸しています。
光合成により、二酸化炭素を吸い、酸素を排出するのと同時に、呼吸によって酸素を吸い、二酸化炭素も排出しています。
静かな佇まいでも、じつはものすごく忙しいのですね。
呼吸は、葉っぱの裏側にある気孔から行われます。
気孔の開閉によって呼吸量が調整されますが、それは温度や湿度によって変化します。
気温が高く暑い状態だと呼吸量は増え、涼しい状態だと気孔が閉じ呼吸量が減ります。
当然ですが、呼吸量が多いという事は活発に活動しているという事です。
暑い場所に置かれた花は、どんどん呼吸をして栄養を運びます。
沢山栄養が運ばれた花は細胞が活性化し、花が咲き進みます。
花が咲き進むということは、それだけ枯れる時期が早く来るという事です。
根が付いた状態であれば次々と花を咲かせ続ける事ができますし、沢山栄養素が運ばれる事は嬉しい事です。
しかし、新しくつぼみを作り続けることのできない切り花にとっては寿命を縮める要因となってしまうのです。
根っこからの栄養を絶たれた切り花は光合成のバランスが崩れている状態です。
もともと栄養を多く作ることのできない切り花の活動を活性化させれば
早く、くたびれさせてしまう事になるのです。
蒸散過多
さらに、花がしおれてしまう要因の一つに、蒸散過多というのがあります。
これは花がもっている水分の給水量に対して、蒸散してしまう量のほうが多い状態を指します。
蒸散とは、植物が気孔から水蒸気を出すことです。
蒸散作用は、私たち人間が汗をかく事とだいたい同じだといわれています。
植物は蒸散をすることで温度調節をしているんですね。
蒸散は主に気孔を通して行われますが、
気温が高い場合や、明るい日光が葉にあたっている時には活発になります。
反対に暗い場所や低温の所では気孔は閉じ、蒸散作用は抑えられます。
また、乾燥した湿度の低い場所でも蒸散は活発になります。
私たちが汗を沢山かいているのに水分を補給できないと、どうなるでしょう?
蒸散作用が活発になり、発散する水分の量が吸い上げる水分よりも多くなってしまった時、
お花は頑張り続けることが出来ずに枯れてしまいます。
夏季、お花がもたない理由はこれが主な原因の一つです。
野外の鉢のお花も、真夏は朝晩2回の水やりが必要な時期がありますよね。
暑い時期は根っこのあるお花でも大変だったりします。
花瓶に水があるのに花は吸っていない
ここまで読んで
え?
切り花はたっぷり水がはいっている花瓶に生けているのだから、蒸散過多ってありえなくない??
と思った方、いらっしゃると思います。
ありえるのです。
切り花は、根っこを切られています。
なので茎から頑張って水を吸っています。
正確には茎中の導管から吸うのですが、
さまざまな理由で導管が閉塞してしまい水の吸収が阻害されてしまいます。
さまざまな理由についてはまた改めて書きますが、
導管閉塞を起こした切り花は、切り口がちゃんと水の中に入っていても、
水を吸うことが出来ずに蒸散過多を起こしてしまうのです。
なのでやっぱり、置き場所が大切
うまく水を吸えない状態になりやすい切り花は、
・光合成、呼吸が活発にならないようにする
・乾燥、高温など、蒸散を活発にさせない
という事が大切になってきます。
たばこや排気ガスの当たる場所を避けるということに加えて、
日光や高温をなるべく避けた場所に飾ってあげましょう。
根のない状態で頑張って綺麗に咲いてくれているその姿を
少しでも長く楽しんであげましょうね。
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